2021AWEssence
2021/10/22
【ざっくりニット】憧れの“手編み系”、プロの技に頼ります!
うんと昔、“手編み”に挑戦したことがある。実家が名古屋でレース問屋を営んでいることはこのコラムでも書いたことがあったと思うけれど、レース以外にもボタンやビーズ、その他手芸にかかわる諸々を扱っており、その中に毛糸もあって。
休日、父が会社で作業するとき姉や妹と一緒についていき、会社(倉庫みたいなんです)であれこれ棚を眺めて、「これはなに?」「これはどういうときに使うモノ?」と父に尋ねるのが好きでした。
小学校高学年くらい、だったかな。棚にずらーーーと並ぶ毛糸を見て、「かわいい!」と思ったのは。トイレットペーパーのロール状(笑)にぐるぐると巻かれたあのかたまりがたまらなく素敵に見えました。
父にお願いして、古くてもう売り物にならない毛糸をひとつもらい、合わせて棒針と『はじめての手編み』的な本もプレゼントしてくれました。
挑戦すると案外編めるもので。一列二列…と編み進めて行き、マフラーの長さまで頑張ることに。…ここまで書くと、いい感じに仕上がったのかな? と期待しますよね。結果は、“終わりかた”がわからず(本を読んだけれど難しかった…)、ギュッと玉結びをして無理やり完成させました。
中途半端な長さと幅、そしてブツっとした両端。自分の首にも、ラブラドール犬サニーの首にも合わず、結局くまのぬいぐるみの首に収まりました。それ以来、手編みにはトライしていません(笑)。
そんな苦い思い出がふっと蘇る、この季節。手編みにはもうトライしないものの、やっぱり手編みのようなざっくりとしたニットって、大好き!!
BEIGE,で今季登場したこのニットも、めちゃくちゃ心をくすぐられます。遠くからみるとキャメルに近いベージュのニット。でも近づいてよくよく見ると、ベージュの濃淡の糸で編んでいて奥行きがある。アラン編みニットって、ギシギシと硬質なイメージがあるけれど、これはコットンにウールとアルパカを混合させている糸なので、ふんわりしています。
実は、袖口に淡いベージュのオーガンジーを仕込んでいて、それがまたなんとも色っぽい。近づかないとわからない、控えめな色気の漂う、ざっくりニットです。広めのVネックを少し抜いて。ざっくりニットからのぞく肌は、クリームやオイルでしっかり湿度高めにしておきたいもの。昨年から大人気のウールリバー仕立てのスカートを合わせて。カジュアル過ぎないアランニットを探している大人に「ぜひ!」と勧めたい一枚です。
ざっくりシリーズでこちらも。右はウールにラクーンの入ったニット。ざっくりとした見た目より軽く、ふわっと暖かい。肩から袖口への白いラインが、ほんのりスポーティで小気味のいいアクセントになっています。
左はモヘヤ67%、シルク33%。モヘヤだけでもリッチなのに、シルクも使うことでふわふわかつ滑らか。多幸感に包まれます。身頃部分を横向きの畦編みにし、ボクシィなシルエットにしているため切れ味がいい。BEIGE,のエッセンスが光っています。
今回紹介した3枚はいずれもやや短め丈。アウトしたとき、スタイルがよく見えるのがうれしい(厚手ニットはウエストにきっちりインしませんものね)。ハイゲージニットと違って何枚も…というのはスペース的に厳しいけれど、丈がやや短い分、気持ち的にもクローゼット的にも余裕が生まれそう。
“手編み”にはもうトライできないけれど、プロが作ったざっくりニットは、長く長く着続けたいものです。
Vネックニット/¥36,300(税込)
スカート/¥39,600(税込)
タートルネックニット/¥42,900(税込)
ニット/¥47,300(税込)
【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。