the essence
2023/03/24
vol.2【ジャケット&デニム】
「人生のロールモデルは誰ですか?」について
|エディター小林文「BEIGE,の奥深きシンプル」
もうすぐ4月。フリーランスとして働いていると、異動があるわけでも後輩が増えるわけでもないので、そういう意味では毎年4月は季節感のない日々をおくっています。…ですが、今年は我が子が保育園に入園したり私が仕事に本格復帰したり、夫の約4か月間の在宅ワークが解かれたり…で、久しぶりに新生活っぽい4月になりそうです。
“新生活”という響きで思い出すのは、新卒〜20代後半までをすごした会社員時代のこと。そのときたびたび質問されたのが、「ロールモデルは誰ですか?」でした。
“ロールモデル”とは、人生の手本となる人のこと。
私はその質問に対する回答にいつも苦労していました。いや、今もどう答えたらいいかわかりません。だって私の本音は「そんな人いません」だからです。
会社員時代、若手女性社員の“ロールモデル”として名前が挙がるのは、営業成績がよくて、夫と子どもがいて、小綺麗にしている人。学生向けに配られる会社案内のパンフレットにも、そういった人の写真とインタビューが掲載されていました。
もちろん私もそういう人に「素敵だな」という気持ちはあります。ですが、仕事/結婚・出産/ビジュアル、が豊かな人生をおくる条件とは思っていないので、“ロールモデル”ではないのです。
そのかわり、憧れている人はたくさんいます。
ニューヨーク出張で出会った現地在住の日本人コーディネーター(私より2歳下の女性)、妊娠・出産・産後すべてを診てくれた担当医師(60代女性)、深夜のラジオパーソナリティも務める某テレビプロデューサー(40代後半男性)、エッセイもネタも書けるお笑い芸人(40代男性)etc.…。
実際にお世話になった人、媒体をとおして一方的に憧れている人、世代も性別も、結婚や子どもの有無、そして仕事の種類もさまざま。それぞれのどういう部分に魅力を感じているかは割愛しますが、“ロールモデル”をひとりに選ぶより、いろんな人のいろんな要素をミックスして参考にするほうが、私には合っている気がします。
ファッションでも、いろんなエッセンスを楽しみたいタイプ。たとえば、ジャケットとジレとデニムをパッと合わせてしまうとか。
重量感のあるリネンを使ったジャケットとジレ。リネンはブランドの“らしさ”が出やすい素材だと個人的には思っているのですが、これはまさにそう。リネン100%=ナチュラルに落とし込んでいないところがとってもBEIGE,らしい! 表面が毛羽立たずクリア、とってもシャープな雰囲気です。
クリアなリネンに合わせて、ボタンもフラットなメタル素材を。軽々しいのではなく、すっきりという意味でのメタル。マットな白も効いています。
ジャストな肩位置、縦長のシルエットで、カットソーの上に羽織るだけでもサマになる。真夏にはアメリカンスリーブとアイスブルーのバギーデニムに合わせたり。
「これ!」とスタイルを決め込んで着たり生きたりするのも素敵だけれど、いろんな人やモノから刺激をもらいつつ、自由に自分なりに、着たい! 生きたい! …そんなふうに思う、新生活の幕開けです。
ジャケット/各¥61600(税込)
ジレ/¥39600(税込)
パンツ/¥39600(税込)
カットソー/¥11000(税込)
デニム/¥33000(税込)
【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして主婦の友社『GISELe』、講談社『mi-mollet』などで編集・執筆中。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。