the essence
2022/05/27
vol.8【アクアブルー】“共感”を過度に求めない、BEIGE,の気持ちいい服
2022SSシーズンもコラムにお付き合いいただき、ありがとうございました。このvol.8がシーズンの最終回です。
全8回分を改めて振り返ってみると、素材も色づかいも細部のディテールも…本当に自由で。体が、心が、「気持ちいい」と感じながらコラムを書かせていただきました。
「気持ちいい」の要因―――いろいろありますが、ひとことで言うと、私はBEIGE, の服に “共感性” をあまり感じないから、「気持ちいい」のだと思います。
“共感性”。これはあらゆるビジネスにおいて、重要視される項目です。SNSがあたりまえになった昨今では特に。ひとりでも多くの人に “いいね!” と評されるものを目指し、つくり、売る。これがビジネスの鉄則。
でも、“共感性” はときどき窮屈なものでもあります。「みんなに愛されるかな?」「みんなこういうものが好きなんだよね?」。そればかりに焦点をあてすぎると、「あれ、これをつくるのって、私じゃなくてもいいんじゃ…?」と気づいてしまったりするから。
ビジネスに限らず、「私は〇〇タイプの人だと思われているから」と行動を制限してしまったり。私自身、SNSを通じて「共感します!」とお声がけいただくと、うれしさ半分、ドキドキ半分、です。
「私、今はこんなんですけど、半年後もこのままとは限らないですが大丈夫ですか?」と。ライフスタイルの変化や経験の積み重ねで、それまでのAという考えがBやC、はたまたGくらいに変わっていたりする。だから共感されることに、ある種の危うさを感じてしまうのです。
…そんなセンシティブな私に優しく寄り添ってくれるのが、BEIGE, の服。
BEIGE, は “エレガント” で “粋” で “ウイットに富んでいる” ―――その軸は毎シーズンブレないけれど、切り口や表現方法はのびのびとしていて自由。
このシアーニットもそう。そもそもこれから暑くなる季節にニットを提案する時点で、“共感性” を重視していない感じ(笑)、めちゃくちゃグッときます。
肌が透ける薄手素材、目の細かい編み地。レーヨンとナイロンを合わせた合繊ですが、ハリのあるシルクブラウスのようなしなやかさがある。からりとしていて、清涼感もある。
首にゆるっと沿って落ちるタートルも、あえて夏に着るからエレガント。首元を隠す分、肩から袖にかけて生地を一段薄くし、肌を透けさせるそのバランスも秀逸です。
瑞々しい【アクア】と名付けられたブルーカラーに合わせたいのは、ビターなブラウン。光沢感やステッチ、センタープレスなど端正なディテールが美しいイージーパンツは、気負わない夏の装いを完成させてくれます。
BEIGE, の服は、いつだってシンプルで普遍的、ゆえに長く着られる。一方、ハッとする発見や他とかぶらない新鮮味も。チーフデザイナーの宮下厚子さんをはじめとした、THE職人なデザイナー陣にお会いするたび、“共感” からくる安心感とは別の、「この人たちの作っているものは本物だ」という絶対の “信頼” を寄せています。
先日ひと足早くお邪魔した22AW展示会。来シーズンもまた、ハッとするほど素敵で、体と心が「気持ちいい」と感じるアレコレが登場しますよ。私を含む、隠れ(?)BEIGE, ファンの皆さま、お楽しみに!
タートルネック/¥24,200(税込)
ロングスリーブ/¥26,400(税込)
パーカー/¥34,100(税込)
キャミソール/¥13,200(税込)
ワイドパンツ/¥34,100(税込)
クロップドパンツ/¥34,100(税込)
【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。