2021AWEssence
2021/11/19
【ニット】 スマートなニットと過ごす、冬の贅沢
四季の中では「秋が好き」と答える子どもでした。たぶん、小学校に上がる前から。海水浴に連れて行ってもらうより、スキーに出かけるより、庭で落ち葉を集めてラブラドールレトリバーのサニーと焼き芋をするのが好きだった。服に赤や黄色の葉っぱ、サニーの白い毛がどっさりくっついて。粘着テープでコロコロしながら取る、あの地味な作業も好きだった。
大学生になり制服から開放され、本格的に自分でファッションを楽しむようになって、ますます「秋が好き」。素足とブーツ、シャツとレザー、ジャケットとデニムとストールetc. …。暑くも寒くもない季節だからこそ、振り幅の広いおしゃれができる。本格的に冬に突入すると、自由が奪われたような気持ちになって悔しかった。
そんな私がここ2,3年でどうやら、「冬も好き」になってきているのです。理由は明白。「ニットが好きになった」から。
冬の訪れに肩を落としていたころの私は、体の限界ギリギリまでニットを着ない生活をしていました。ニットが嫌いというわけではなく、ニット生活が長いことがイヤだった。東京でも、生まれ育った名古屋でも、なんだかんだで3月の終わりか4月の頭くらいまではニットを着続けなくてはいけない。「飽き飽きするわ〜」と毎年ブーブーブーブー言って。
けれど、30代も半ばになり、ニット選びに本気になってみた途端、「むしろニットが早く着たい!」「早く冬が来ないかな〜」。秋の早いうちからニットを着るという、第二の人生がスタートしました(大げさ?)。
さて、今年はどんなニットを買い足そう。ワクワクしながら各ブランドをチェックしていたとき、BEIGE,でグッとくるものに出合いました。
「スマートなニットね〜!」。試着をして最初に出た感想です。
セットアップのように上下で着ているタートルネックニットとロングスカート。いずれも軽いウール素材を少し厚みの出るスムース編みにし、ギュッと圧縮させているのだそう。そう、圧縮させているから、通常のニットのしなやかさに加え、着ると体との間に空気を含んで、スウェットのような丸みやふくらみができているんです。スウェットを使ったコーディネートに興味はあるものの、自分が着るとなんだかカジュアルすぎて落ち着かない…というのが私とスウェットとの距離感なのですが、これはそんな人に朗報! スウェットのようなフォルムは手に入りつつ、体をすっきり見せてくれる。いろんなことを諦めなくて済む、そういう意味で“スマート”なニットです。ドルマンスリーブでリラックス感があったり、袖や首周り、裾は体にフィットしてきちんと感もあったり。たっぷりのフレア具合いが美しいロングスカートと合わせて着たくなる、大人のためのニットです。
大人のためのニットといえば、こちらも。繊維の細いベビーキャメルを使っていて、滑らか。着ると自然にドレープができて、うっとりするニットです。深すぎないVネックニットは首後ろもさりげなくV開きで、前から見ても後ろから見てもきれい。センターにラインを入れたニットパンツはジョグパンの冬バージョンとして。首周りの立ち上がりによって、暖かさとリッチさが格別なロングカーディガン、そして、どんなアウターとも相性のいい、ロングストール。どれも決してデコラティブではないけれど、緻密に計算されたシンプルなデザインと着心地で、最高に“スマート”です。
2018年の秋冬からコラムを担当し、BEIGE,のフルラインナップを拝見している私から言わせていただくと、今年は特にニットの“当たり年”だな〜と思います。
11月19日のインスタライブでは、それらも含めてお話しする予定。着ているところを見ると想像しやすくなるのがニットなので、ぜひ参考にしてみてください。
最後になりましたが、2021AWのコラムはこれでおしまい。また2022SSでお会いできる日を楽しみにしています!
ニット/¥29,700(税込)
スカート/¥34,100(税込)
ストール/¥36,300(税込)
カーディガン/¥47,300(税込)
パンツ/¥39,600(税込)
ニット/¥36,300(税込)
【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。