2020SSEssence

2020/05/22

【ワンピース】自粛生活で知った新たなファッションの楽しさvol.13

自粛生活が段階的に解除され、私の住む東京もあともう一息というところまで来ています(その後も気が抜けませんが)。我慢を強いられる生活は長かった・・・けれど、頭の中では世界を飛びまわって、感覚が研ぎ澄まされた期間でした。

たとえば、

初めて夢中になった韓国ドラマ―――。
もし私がヒロインの女優のように、毛先だけブリーチしたら・・・実際にはトライしていませんが、「その場合はリップの色もピンクにしなきゃね」と、鏡の前で想像するだけでもワクワクしました。

iPhone内の写真整理―――。
ちょうど2年前のこの時期に訪れた京都での写真。お出汁が染みたフキやタコを、たっぷりの刻みネギと山椒でいただく老舗のおでん。「次回行くなら、新しくできたあのホテルに泊まろう。1泊ならあのバッグで十分ね。荷物が少ないなら、もう一軒ひっかけて・・・」と、Google Mapでルートを検索。

ベッドでの寝落ちまでのおとも―――。
南米アルゼンチンの都市・ブエノスアイレスの本。渡航予定はないけれど、いつか行きたいと夢見て買った本。ガツッとした牛肉料理、元劇場の風貌を残した書店、広場やレストランなどでタンゴを踊る男女の写真etc.・・・。踊ったことはないけれど、俄然、踊る気満々の私(笑)は、とにかく赤が着たい気分。

そして、今回のワンピースは、そんな気分にまさにぴったりでした。

ベーシックカラーが軸のBEIGE,にしては珍しいカラーバリエーションですが、ジャージー素材ならではのマットな質感、コクのある赤で、意外なほど大人の肌に馴染むし、顔色をパッと明るくしてくれる。やっぱり「BEIGE,らしい~」とうなります。

デザインは、サイドに巻きスカートのようなひねりがあるのがポイント。情熱的にブエノスアイレスのフロアで踊るもよし、スニーカー合わせで東京を闊歩するもよし・・・と妄想。体のラインが出すぎない、ストレートなシルエットだから、着る場所を選ばない、お得なワンピースなのです。

こう振り返ってみると、自粛生活は、誰かのため、何かのため、という目的意識はなくなった期間だったけれど、かわりに自分の気持ちに敏感になった期間だったな〜と思います。

さて、今回で2020SSのコラムは終了。
日本が、世界が、大変な中、毎回迷いながら何度も書き直しながら、無事最終回を迎えました。

ファッションを楽しむことは、やめなくていい―――

そのことをひとりでも多くの方と共有できたとしたら、うれしいです。
最後まで、本当にありがとうございました!
また2020AWシーズンでお会いしましょう♡首元はシンプルなクルーネック。ノースリーブで腕が露出する分、首元は詰まっているこのバランスによって、全身がキリッと引き締まります。ゴールドパーツのツヤ、テープベルトの凹凸、そして、豊かなドレープ。決してごちゃごちゃとした雰囲気ではないけれど、立体感のある表情豊かなジャージーワンピースです。

ワンピース¥29,000(税別)

【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。