2020AWEssence
2020/09/25
【リバー素材】コートにもニットにもないものvol.7
今までで、一番うれしかった褒め言葉はなんですか?
私は中学生の頃、久しぶりに会った姉の親友"ひろちゃん"のお母さんに言われた、「文ちゃんは雰囲気があるねぇ〜」です。
・・・急になんの話だよ、と思われるでしょうが、しばしお付き合いを(笑)。
三姉妹の次女って、まあ割と目立たないんです。長女は「美人だね」、三女は「賢いね」とよく言われていましたが、次女の私には、「優しいね」が多め・・・。なんとなくぼんやりとした表現に聞こえて、傷付いていた時期もありました。
そんなときに言われた"雰囲気がある"という言葉。
地元・名古屋の公立中学に通い、特にイケてる系というわけでもない私に対して、何をどう見てそう言ってくれたのかはわかりません。そこそこ思春期だったため、「え、どのあたりがですか〜?」とぐいぐい尋ねることもなく、ただ小さくお礼を言うのが精一杯。けれど、その頃からファッションや雑誌に興味があった私にとって、"雰囲気がある"は、含みのある特別な言葉に聞こえ、なんとも言えないうれしさがありました。
もし今、ひろちゃんのお母さんに会ったら、お礼を言いたいな〜。覚えていないとは思いますが(笑)。
なぜそんな話を思い出したかといいますと、今回のリバー素材シリーズは"雰囲気がある"という言葉がぴったりだから、です。
通常、リバーはロングコートなどによく使われますが、それをあえて、シャツ型のジャケットや半袖トップス、膝丈スカートに。滑らかで肉感のあるリッチな素材を贅沢に使用し、突飛ではないけれどアレンジ力が光る、そんなシリーズです。たとえばジャケット。
ステッチ糸の色を効かせることはしていないので、丸みのあるポケットや襟のディテール、シルエットの美しさで勝負。共布ベルトでウエストマークすると、胸周りや背中にふわっと空気が入って"雰囲気のある"フォルムになります。半袖トップスやスカートもまた、"雰囲気がある"。
シンプルなクルーネックですが、同じクルーでもニットにはない端正な佇まい。きちんと感が求められるシーンにも着ていきたいトップスです。
付かず離れずのIラインが美しいスカートには、大きなポケットが。私が着ているBone(ボーン=骨)というカラーもまた素敵。秋は素足に白のコンバースを合わせたりして、あえてラフに落とし込むのも、大人っぽくてワクワクします。
華やかさや圧倒的カッコよさ、とは別の"雰囲気がある"という言葉がしっくりくるこのシリーズ。
いつか私もそんな女性に・・・と夢見て、この秋冬、めいっぱい着ようと思います!
ジャケット 各¥59,000(税別)
トップス 各¥39,000(税別)
スカート 各¥36,000(税別)
【profile】
1985年愛知県名古屋市生まれ。大学卒業後上京し、約5年半、人材系企業に営業職として勤務。28歳でエディターを志し、転身。現在はフリーランスのファッションエディターとして小学館『Oggi』、講談社『mi-mollet』などで活躍中。またアパレルブランドや百貨店との商品開発、トークイベント、コラム執筆も担当。Instagram@kobayashi_bunでは日々リアルなコーディネートを更新中。noteではエッセイも。